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『私のアメリカ その2』
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    by 藤井郷子

    人は、異質の文化や価値観に接すると、極端にそれを否定したり肯定したりして、客 観的に判断をする事ができなくなる。それをカルチャーショックと呼ぶらしい。専門 家によれば、カルチャーショックは一種の防衛本能で、正常で健康的な反応という事 だ。問題は、その極端で客観性を欠いた判断を、当の本人は、冷静で客観的な判断と かたくなに主張する所だ。

    私はアメリカに住み始めて、最初の1年半の間、アメリカが大嫌いだった。ところが その後1年程、極端にアメリカが好きになり、日本が大嫌いになった。どちらもカル チャーショックだ。それで今はといえば、両方とも好きな所と嫌いな所がある。 アメリカに住んで一番良かったと思うのは、外から日本を見れる様になった事だ。日 本に住んでいては、気がつかなかった、日本では何の疑問も覚えなかった事が、はっ きりと見えてくる。もし海外に住む機会があるなら、私は海外での生活を体験する事 を薦める。異質な文化の中で生活する事、日本を客観的に外からみる事は、日本にい てはなかなかできる事ではないから。

    数あるアメリカの好きな部分で、私が特に好きな所はアメリカには多種多様な価値観 、文化があるという所だ。世界中からの移民でつくられた、他民族国家のアメリカに は、多くの異文化が混在している。もちろんアメリカをアメリカたらしめている共通 する価値観はあるが。音楽でも色々な種類の音楽をやっている人がいて、それぞれの リスナーもいる。もちろん、ブームやメインストリームというのはあるが、少数派も しっかりと認められて存在する。多種の文化が混在するという事は、それだけ新しい 物が生まれるエネルギーがあるという事だ。ジャズという、多種の音楽の要素を取り 入れてできた音楽も、この土壌があったからこそ出てきたと思う。音楽家の私にはこ の環境は何よりもありがたい。

    もうひとつアメリカの好きな所を上げるとすると、それはその肯定的な物の見方だ。 アメリカには日本でいう所の『謙譲の美徳』はないとよくいわれるが、形を変えてそ の発想はある。日本では自分自身を低くおく事により、相対的に相手を高く置くが、 アメリカでは相手をひたすら持ち上げる。直接、本人の前でほめちぎりまくるのを見 ていると、時々あまりにみえすいているので、シラッとはするが、もちろんほめられ て悪い気がする訳はない。教育でも同様に良い所を見つけてほめる。日本では、良く できて当然、できていない所を探して注意される。『そんな事をすると、他の人に笑 われる』と子供の頃からいわれる。私は日本にいる時、いつも失敗するのを恐れてい た。うまくいかない所ばかりを見られていると思うと、ノビノビとはできない。その 点、アメリカでは気が楽だ。

    では、日本の好きな所はというと、日本人の責任感の強さ。自分が関わっている仕事 等を全力できちんとやる。結果、日本では大変生活がスムースにいく。アメリカでは 、例えば、家具ひとつ買っても、問題なく手元に届けられる事の方が少ないくらいだ 。店、配達業者、と分業が進んでいる上、店の中でも担当が違えば話しが通じない。 閉店時間がくれば、ほとんどの店員は帰宅の事しか考えていない様だ。

    色々と勝手な事を書いたが、私は日本もアメリカも大好きだ。両方とも体験できたか ら、各々の良い所もよくわかる。ところが、その反面アメリカにいると日本がなつか しく、日本にいるとアメリカがなつかしく、いつもなんとなく満たされないというの も事実だ。それでも、日本を新しく発見できたり、アメリカを知る事ができたり、生 まれ育った国以外での生活はとても価値があると思う。

    | エッセイ by 藤井郷子 | 14:33 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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