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なんでもかんでも

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『エレクトリックピアノ』
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     by 田村夏樹

    あれは4年前のボストンの夏、ニューイングランドコンサバトリーに行っているとき の事であった。

    ある日風邪ぎみの僕は学校での練習を切り上げ、一人でアパートに帰って寝ていた。 どれくらい時間が経ったか、ふと眼が覚めるとリビングに置いてある、ウチのエレク トリックピアノの音が聞こえるではないか。「あっ、サトやん帰って来てたんだ」と 思い、ベッドから声をかけた。「サトやん、サトやーん」
    ピアノの音が止まったので、てっきりこっちにくるもんだと思って待っていたが、な かなか来ないので「どうしたの?」と言いながらリビングへ行ってみたら、、、、誰 もいない。もちろんバスルームにもキッチンにも。そのとき「ああ、これの事を言っ てたんだ!」と、ピーンときた。

    実は1週間程前、サトやんがバスルームで歯を磨いている時、やはりリビングの方か らピアノの音が聞こえてきたが、「そんなはずはない。どこか他のアパートからの音 かも。と思ってさほど気にもとめなかった。」という話しをしていた。しかし不思議 なことに怖いという気は全くしなかった。しばらくして学校から戻ってきたサトやん にピアノの件を話したら「ウソー!!」と言って急に怖がり始めた。念のためどんな フレーズを弾いていたか話したところ、1週間前に聴いたフレーズと全く同じだった そうだ。その後サトやんが夜中にトイレに行くときは常に起こされて付いて行くはめ になってしまった(言わなきゃよかった)。

    そんな事があってから、さらに1週間程経ったある夜の事。なんだか寝苦しくて眼が 覚めると『カナシバリ』の状態で体が思う様に動かせなかった。『アリャーまいった なこりゃ』と思っていると突然左の方から人の手が延びてきた。サトやんは右側でス ヤスヤ寝ているし、『だっ、誰の手だ。これは!』思うように動かなかった体を必死 の思いで動かした途端、スウーッとその手が消えていった。その時もやはり怖いとい う気は全くしなかった。そして何故かその手は女の人の手で、あのピアノを弾いたの と同じ人だという事が分かるのだった。
    昔この部屋に住んでいた女性ピアニストの霊がまださまよっていたのであろうか?

    | エッセイ by 田村夏樹 | 14:35 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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