SELECTED ENTRIES
RECENT COMMENTS
CATEGORIES
ARCHIVES
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS

06
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
--
>>
<<
--

なんでもかんでも

<< 日常 | main | 浮草稼業 >>
海外生活
0
    by 藤井郷子

    はじめて海外に出たのは、27歳の時だった。そもそも出不精の私はそれまで、飛行機に乗った事もなかった。それがいきなり、留学のためにアメリカボストンに向かった。その当時はインターネットもないし、アメリカには友人も知人もいなかった。知人の知人がニューヨークにひとり、ボストンにひとりいたが、会った事も話した事もない方達だ。ニューヨークまでは直行便でその頃、東京から15時間かけて着いた。知人の知人が空港まで迎えに来てくれて、商社マンのその人は私が若い女性という事で、気を使ってマンハッタンの五番街をドライブがてら見せてくれた。が、ブランドなんか何も知らない私には、なんだかさっぱりわからない。その後、まだその頃は営業していたセントラルパークとなりにあるパークプラザホテルのオイスターバーに連れて行ってくれた。食後は車で翌日ボストンに発つラガーディア空港近くのホテルまで送ってくれた。ここまでは、その人に頼りっぱなしで何も苦労しなかったが、ホテルに着いてからが大変だった。無事に着いたと日本の家族に電話したいが、電話の仕方がわからない。フロントで聞いても、何言ってるかわからない。あーでもないこーでもないと長時間格闘。でも何とか電話をかける事ができた。これから、ずーっとこの大変さが続く。日本以外で暮らすっていうのはこういう事だ。


    翌日は、ラガーディア空港からボストンに行く。その当時はイースタン・エア・シャトルというのがニューヨークとボストンを飛んでいて、私のフライトはそれだったのだが、ターミナルがどこかもわからない。イースタン航空とイースタン・エア・シャトルのターミナルが違うのだ。それがわかるまでに30分はかかった。空港のインフォメーションで聞いても、説明が聞き取れない。最初に指差された方向に向かい、しばらく行った所でまた聞いて、で、ターミナル連絡バスに乗ったはいいけれど、どこで降りるかもわからず。空港で右往左往の上、ようやくチェックインカウンターに到着。さて、ボストンにいる知人の知人にそこから電話しようとするが、これまた大変なこと。ニューヨークとボストン間の電話は長距離で、けっこうコインがいるのだ。公衆電話で番号をまわすといくら入れて下さいというアナウンスがある。この聞き取りが大変。その上そんなたくさんのコインなんか持っていない。今ならインターネットも携帯もあるが、その頃は電話ひとつも大変だった。日本にいれば、何でもない事がすごーく大変な上、時には対応してくれる人が感じ悪くて、どうでもいいところで傷つけられる。プライドなんてズタズタだ。こんなに英語が通じないとは思ってもみなかった。でも、友人達は華々しい送迎会をやってくれたし、ちょっとすぐには帰れない。ニューヨークに着いてホテルに一泊、ボストンに向かい、知人の知人のそのまた知人のアパートをサブレットで借りて一泊した時点でもう本当に帰りたくなった。友人や家族がいない土地に居ると言う事がどんなに寂しい事なのかというのも、初めて味わった。それから数年間のアメリカ生活でどんどんたくましくなった。というか、性格が悪くなったのかもしれない。主張ははげしく、失礼な対応にも傷つかなくなった。

    行ったり来たりのアメリカ生活から日本に拠点を移してほぼ15年間、今度はベルリンに引っ越した。もうおばさんだし、最初のアメリカ生活のようにはうろたえない。ドイツ語は全く駄目だが、英語がわかるお陰で、ずっと楽だし、ドイツ人は日本人とメンタリティーが近いようだ。それでも、時々くるドイツ語の手紙にはパニックになる。落ち着いて辞書やインターネットの翻訳で調べれば、ほぼわかるのに、まずは大騒ぎだ。

    こんな思いをしても、私は若い人に海外での生活の体験をすすめたい。日本にだけ居ては見えない事が山ほど見えてくる。気がつかなかった当たり前の事がそうではなく思えてくる。それまで知らなかった自分とも出会える。旅行とは違う。
    そして、逆に日本で生活している海外の人に共感を覚える。どんなに未知の土地、社会、文化の中で毎日格闘しているかと考えると、出来る事があれば助けたいと思う。私が海外で多くの人たちに助けてもらっているように、今度は少しでも力になれればうれしいと思う。
     
    | エッセイ by 藤井郷子 | 00:06 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









    http://blog.librarecords.com/trackback/321