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ストレス
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    by 藤井郷子

    今まで、ストレスがどういうものなのか、私自らがストレスを持っているのかも全くわからなかった。20代後半から時々発症を繰り返す低音の耳鳴りは、専門医に「ストレスが原因ですね。女性に多いんですよ」と言われ、持病の歯周病は歯科医に「ストレスがあったり、体調を崩すと発症しますよ」と言われたが、ストレスの自覚はないし、計ってもくれないから、なんのことだかさっぱりわからなかった。もしかしたら、治療ができないから、ストレスのせいにしてるんじゃないかとすら思った。ストレスを口にするお医者さんの中のひとりに、忙しいこと自体がストレスなんだ、という先生がいた。私は幸運なことに好きな仕事だけして生きて来た人間なので、好きな仕事で忙しい時は幸せだけど、暇な時はむしろ気持ちが晴れず、ますます「ストレス」の意味がわからずにいた。
     
    昨年秋から、その好きな仕事がありがたいことにものすごく忙しい。音楽家だから作曲したり、演奏するのが仕事だが、実際はその部分は他の仕事も含めると全体の1割くらいにしかならない。仕事をとるためには、依頼主との交渉、決定したら、共演者との打ち合わせ、仕事先への移動の手はずや、フライヤーを作ったり、時には宿泊の手配もする。マネージャーの仕事をほとんど全てやっているので、プロモーションも含めて並大抵な仕事量ではない。大変なのは、私と共演者、それに主催者が時差があるところにいる時。先月は東京で、ヨーロッパの共演者と北米の主催者とのメールでの急ぎのやりとりで、ゆっくりと眠れない日が何日も続いた。同時にたくさんのメールでのやりとりをしつつ、飛行機の予約を入れて、電車の移動を確認して、なんてやっていると、もう能力の限界。カリカリとしてくる。その上、眠い。でもでも、全ては楽しい演奏のため。そう考えるとますます頑張れる。
    先週、ベルリンに戻り、わずか3泊してからはじまるツアーのために、譜面の整理、荷造り、留守中に溜まった手紙の整理とか走り回っている中、ドイツの鉄道のストライキのニュース。仕事がまだまだ途中なのに、駅に飛んでいき翌日の電車の運行を確認、帰宅して、さあ荷造りと思った時に、あ〜〜、これがストレスなんだと認識。つまり能力を超えた仕事量で負荷がかかっている状態。仕事がいっぱいでも、自分のペースで処理できたり、楽しくやれるうちはまだ大丈夫だったが、とてもじゃないけどマイペースなんて言ってられない。そして、ストレスを認識してから数時間後に身体中に痛みを感じ、熱まで出はじめた。おかげで、翌日からの仕事を2本キャンセルすることになってしまった。ドイツとフランスとの大編成の仕事、40人以上の共演者に迷惑をかけることになってしまい、起きられないベッドの中でどうしてこんなことになったんだろうともんもんと考えた。結果的に病気になったわけだが、その引き金は私の働き方にあったような気がしてきた。何もかもとにかく納得のいくようにやりたいと、自他ともに無理を強いてきた。順番にペースを考えてやれば、負担にもストレスにもならないはずなのに、力づくて何もかも解決しようとしてきた。世の中には、忙しい人はいっぱいいる。私なんかよりずっと忙しい人が、たくさんいるはずだ。問題は忙しいことではなく、その多忙な仕事とどう向き合うかだと思う。
    今回の経験のおかげで、ストレスってこれだ、とわかるようになった。
     
    | エッセイ by 藤井郷子 | 13:22 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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